ブラック企業体験記~広告代理店編 上がらない給料と怒号~

おこる人 皆のブラック企業体験記
おこる人

辞めた人の似顔絵を2冊に渡って書く先輩

筆者が20代の頃に働いていた、某広告代理店の話です。
短期大学卒業後、私はなかなか就職先が見つからず、フリーペーパーの求人広告雑誌を見て仕事を探していました。
その時に見つけたのが、冒頭で出てきた広告代理店でした。

アットホームな雰囲気で高収入な求人広告

少人数でアットホームな雰囲気の求人で、社員さん達のとても仲が良さそうな写真が載っていたことも気に入ったのですが、高収入なところも魅力的でした。
その求人広告が気になった私は、すぐに面接の連絡を入れ、無事に合格。
一週間後には働き始めることになったのです。
その会社は10人程度の小規模な会社で、50代から60代くらいの男女が何人かと、年の近い先輩が3人程いました。
社長とは会ったことも話したことも無く、面接も事務も含め、全ての権限は副社長が持ってるようでした。

入社直後は至って普通?なテレフォンアポイント

入社後は、まず個人情報のリストやハローページを渡されて、その全てに電話をかけるように言われました。
他にはマニュアルの用紙が1枚あり、電話がつながったらマニュアル通りに話すことを求められました。

私は、家庭教師をお勧めするテレホンアポインターのアルバイト経験があったので、その仕事と同じ要領なのだな、と思いリストにそって電話をかけていきました。
そして電話がつながったら、マニュアル通りに読み進め、相手が興味を持ってくれたら先輩に電話を変わる、ということをひたすら毎日繰り返していました。
初めの3日程度は定時である6時に帰っていましたが、4日目以降は8時、9時とどんどん就業時間が遅くなっていったのです。
その頃には先輩に電話を変わることもなくなり、自力で契約を結ばなくてはならず、中々うまく成績を伸ばすことができないでいました。
営業成績が出ないから帰れない、という理由だったので、自分の営業能力がないからだと納得して毎日残業をしていました。

急に来なくなった先輩

入社して2週間が経ったころには、私の1ヶ月前に入ったという先輩が急に来なくなり、その2日後にはハローワークから何やら確認の電話がかかってきました。

事務担当の副社長が、そんなことはない、こちらに不手際はないと話すのが聞こえてきて、何の電話かな?と不思議に思っていました。
先輩たちはまた言ってるよ、いつものことだ、あいつは我慢が足りなかった、と笑いながら話していて、何か嫌な気持ちになったことを覚えています。

ハローワークの求人と違う会社?

後々先輩から届いたメールでわかるのですが、急に来なくなった先輩はハローワークで求人を見つけて会社に入ったものの、入ってみると業務内容から会社名、給料まで全てが違うということで耐えられなくなり、逃げるように辞めてしまった、という事でした。
そのメールには、その会社は決して良い会社ではないよ、君も早く辞めたほうがいい。という助言もありました。

会社名が違うというのはどういう事なのか、と思ってさりげなくほかの先輩へ聞いたところ、求人の段階では知り合いの規模の大きい会社に名前を貸してもらって、入ってみたら実は違う会社でした。という事だったそうです。

そんなことは許されないのでは?ととても驚いたのを覚えています。

その後も、私の後に入社した人が2日目には来なくなり、会社からの電話も拒否されて音信不通になったことが何度かありました。

契約をとれる様になったけど

はというと、少しずつ契約は取れるようになったものの、残業時間は増え、ついには休日も出社するようにと言われていました。

私より契約が取れている先輩たちも元々ノルマが多いので中々達成出来ず、ほとんど毎日みんなで顔を合わせていました。

初めは高収入だと思っていたお給料も、月に30日出勤していたり、残業が多すぎたため、時給計算すると地域の最低賃金を大きく下回る程になってしまいました。

頑張って契約をとっても出来高制ではないので尚更モチベーションも上がらず、私は日に日に疲れていきました。

そんな毎日の中、私は一人のお客様と出会います。

契約をとれた時の達成感

私が営業していた商品は、いわゆる広告商品で企画に賛同してもらえたら出資を決めていただき、その見返りとして企業名などの宣伝ができる、というものでした。

そのお客様は個人でお店を経営している70代くらいの方で、夫婦で細々と商売をしていると言っていました。
出資金についても、正直うちの店には高いけどあなたがそんな熱心に勧めるなら悪いものじゃないんだろうしなぁ、ととても悩みながら契約を決めてくれた方でした。

提案書や見積書のやりとりをして、店名と一緒に載せることができるキャッチフレーズを一緒に考えて、無事に契約も完了。
あとは任せた、よろしく頼むよ!と言われ、とても嬉しい気持ちになったことを覚えています。

売っていたのは詐欺商品!?

広告商品の販売期間が終わりしばらく経った頃、先輩から支払いが滞っているところが何件かあるよと言われます。

その商品は後払いだったため、支払いがしてもらえないことはたまに起こることでした。
その場合は営業担当者が電話をかけて様子を伺うのですが、そのリストの中には悩みながら決めてくれたあのお店もありました。

少し緊張しながら電話をかけると、すぐに繋がりました。
「先日はありがとうございました。商品見ていただけましたか?」
と、話をすすめると
「あんなの詐欺だよ。
あんなの売ったらいけない。
こんなことは絶対にダメだ。」

と言われてしまいました。

目が覚めたきっかけ

詐欺、という言葉にパニックになってしまった私は、何も言葉が出てきませんでした。
パニックになった頭で、今までの色々なことを思い返します。

・いつまでも研修時代と同じ額のお給料。
・副社長とは名ばかりの、社長の友達のパートの人。
・そのパートの副社長にいつも怒鳴られる、当たられ役の先輩。
・毎日の怒号が怖くて、怒鳴られないように必死で電話をかける私。
・早く辞めた方がいいという先輩からのメール。
・もう2冊目だよ、と笑いながら歴代の逃げて辞めていった人の似顔絵を、コメント付きでノートに書いている先輩。
・詐欺と言われても仕方がないような営業商品。

なにかおかしいと思ってはいたけれど
「詐欺だよ」
の言葉で目が覚めたような気持ちになりました。

辞める決意

それから、担当していた顧客の整理をして、辞めたい、と副社長に伝えました。

私を雇うのにもお金が発生している、その分を回収できていないのだからダメだ。
と、初めは全く話を聞いてもらえませんでしたが、仲の良かった先輩にも協力してもらい何度も何度も訴えてようやく辞めることができました。

歴代の先輩たちが逃げて辞めていった理由はこれだったのだな、と思いました。

まとめ

辞めてからも必要な書類をもらえなかったりと一悶着ありましたが、他の会社に無事に就職して落ち着いた生活を手に入れることができました。

今思い返しても、営業という仕事はあんな環境が当たり前なのか?という気持ちになることもあります。
ですがテレビなどでブラック企業の特集をみていると共通点が多く、あれはやっぱりブラック企業だったのだろうと思い直します。

もう、私はあそこに戻りたいとは思いませんが、一緒に働いていた先輩たちがせめて前向きに仕事ができていることを願うばかりです。

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